酉の市について前回調べてみました。酉の市といえば縁起物の熊手です。今回はその熊手について調べてみました。
熊手守りと縁起熊手
「酉の市」の立つ日には、おかめや招福の縁起物を飾った「縁起熊手」を売る露店が立ち並ぶ。また、市を開催する寺社からは小さな竹熊手に稲穂や札をつけた「熊手守り」が授与され、福を「掃き込む、かきこむ」との洒落にことよせ「かっこめ」と呼ばれている。元々は鷲神社周辺の農民のために縁日の境内で熊手や鍬などの農具を販売していたのが、次第におかめなどの縁起物がオマケとして農具につけられるようになり、それが今日の装飾熊手の由来となっている。
酉の市の縁起物は、江戸時代より熊手の他に「頭の芋(とうのいも)」(唐の芋)や粟でつくった「黄金餅(こがねもち)」があった。頭の芋は頭(かしら)になって出世する、芋は子芋を数多く付ける事から子宝に恵まれるとされ、黄金餅は金持ちになれるといわれた。しかし幕末頃から売られるようになった「切り山椒」が黄金餅に変わって市の縁起物となり今日にいたっている。本格的な寒さを迎えるこの時期、これを食べれば風邪を引かないといわれる。
縁起物の代表である熊手は、鷲が獲物をわしづかみすることになぞらえ、その爪を模したともいわれ、福徳をかき集める、鷲づかむという意味が込められている。熊手は熊手商と買った(勝った)、まけた(負けた)と気っ風の良いやり取りを楽しんで買うものとされ、商談が成立すると威勢よく手締めが打たれる(商品額をまけさせて、その差し引いた分を店側に「ご祝儀」として渡すことを「粋な買い方」とする人もおり、手締めはこの「ご祝儀」を店側が受け取った場合に行われる場合が多い。つまり、この方法でいくと結局は定額を支払っているわけだが、ご祝儀については明確に決まっているわけではなく、差し引き分以上の場合もあれば、小銭程度であったりと買い手側の意思に依存している)。熊手は大小様々なものが売られており、主に売り手の思惑により年々大きくしてゆくものともされている。
酉の市で有名な浅草鷲神社の隣に長國寺があります。こちらも酉の市ではにぎわう寺院だそうです。長國寺のホームページには熊手について詳しい記述がありました。
熊手の由来
1 わしの爪の鷲づかみ
2 戦勝を祈願した軍扇
3 実用の農具から縁起物へ
酉の市の始まりは江戸近在の花又村の収穫祭と言われ、その日は鎮守である鷲大明神に市がたち、農具や農産物を売る露店が立ちました。その中に、大きな唐の芋「頭の芋」、粟で作った黄金色の「黄金餅」とともに、落ち葉などを「掃き込む、かき込む熊手」がありました。江戸市中からの参拝者が増えるに従って、実用的な熊手から江戸っ子が好む洒落がきいた縁起熊手へと変化していったと伝えられます。
明和8年(1771)頃から盛んになった浅草長國寺の酉の市では、花又で商われる熊手よりずっと大きく華やかな縁起熊手が出現し、後にはかんざし熊手など多種多様の熊手が人気となります。
さらに熊手には種類があるそうです。これも長國寺のホームページに記載されています。
酉の寺・長國寺や鷲神社から授与されるお守りの「かっこめ熊手」とは別に、酉の市といえば、金銀財宝を満載した縁起熊手が連想されることでしょう。同じように見える熊手ですが実は違いがあります。 酉の寺・長國寺の境内に店を張る妙見講の各店でも、それぞれに趣向を凝らした縁起熊手を商っています。 ここでは浅草酉の市会場で見られる代表的な縁起熊手をあげてみます。
赤物熊手
飾り物のパーツ(差し物)が手作りで、一見して赤く見えるのでこの名前で呼ばれています。
七福神や、大判小判などを配し、両わきには必ず大福帳が置かれ、熊手全体を宝船に見立てています。おかめの面は付けません。
青物熊手(文化熊手)
差し物が機械造りで、上部に緑の松を飾ったものが多かったことからこの名前で呼ばれます。
差し物にはおかめの面を始め、大判小判、松竹梅、鶴亀、米俵など、おめでたいものが勢揃いしています。
みの熊手
竹ざるのなかに、おかめの面や、升などを入れた比較的シンプルな熊手です。熊手の台は使わずに、竹の棒に直接ざるを取り付けてあります。
黒爪熊手(鬼熊熊手)
台となる熊手のつめが、がっちりと太く曲がり部分を火で焼いて黒くした熊手です。以前は、黒竹で造られました。
注連縄とおかめの上に太い爪が見えます。トラディッショナルなのにモダンな熊手の代表です。
桧扇(ひおうぎ)熊手
扇の真ん中におかめの面を大きく入れた熊手です。以前の扇は板や竹を薄く削って作られていました。
最近は伝統的な半円の扇型だけでなく、リースの様な円形扇におかめさんが載っているものもあります。
宝船七福神熊手
船の帆を大きくしてお宝を満載した熊手です。七福神のお人形さんが見えます。
その他の特徴ある熊手
そのほか、七福神、注連縄、稲穂、樽酒など、また、その年の話題を取り込んだものなど沢山あります。最近では横に大きく広がるより、横幅を押えて厚みをましたものが人気です。
そのため熊手の大きさもですが、小さくとも台の要となる竹の太さが重要視されます。大きさもどこに飾るの?と思う大きなものから、片手にすっぽり収まるような小さな豆熊手まで多種多様です。
熊手で福をごっそり掻き込みたいですね。
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