般若心経4

般若心経には「無」という文字がたくさん出てきます。ではその「無」について勉強します。

お坊さんが答える相談さいとhasunohaに「無」に関する解説がありました。

以下のとおりです。

「縁起として存在し」→みんな繋がってて全
「固有の実体を持たず」→個でもあり全でもある
ということです。

無も同じです。否定の意味ではありません。
無→「固有の実体を持たず」→個でもあり全でもある

だから空も無も同じですけど般若心経の中では、空は「個はそのまま全であり、全もそのまま個」という「個⇄全」のニュアンスなのに対し、無は「個に執着してるところから全にもっていけ」という「個→全」のニュアンスを感じますよね。そこで使い分けられているように思います。

この辺の文脈はすべて「一切の顛倒夢想を離れれば涅槃を究め竟る」にかかってきます。じゃあ顛倒夢想って何よ?といいますと、見たもの聞いたものに頭でアレコレ上書きするなということです。
感覚器官や意識作用をシャットアウトするのが無ではなく、感覚器官や意識作用をそのまんまにしておくのが無であり全なわけです。

人間って、なんとなく眼も耳も鼻も舌も皮膚も意も俺の感覚器官だと思ってますよね。それが違う。
平たく言えば仏様からの授かり物であり、難しく言えば「回互と不回互と回してさらに相い渉る」。つまり眼も耳もどれもそれぞれ独立した個です。俺の眼ではなく、眼は眼なんです。瞼を閉じて視線をさえぎれても、眼そのものを止めることはできませんでしょう?
そして独立した個でありながら、眼耳鼻舌身意を統合しながら認識している。独立しながら統合し、個でありながら全である。

そこで、眼や耳は俺ではなく、全も因縁生起であって俺ではない。どこにも俺が無い。無我なんです。俺が無いから本来、執着のしようがない。

でも人は妄想によって俺を創り出し、アレコレ私物化しようとする。私物化するから執着する。執着するから苦が生じる。私物化すれば苦は生じ、私物化しなけば苦は滅っす。
…という話です。その私物化しないことを無と言います。

理屈で考えるのも頭で上書き編集することではありますが、それを否定すると取りつく島もなくなるのも事実です。無所得の大切さを所得しないと無所得しがたいんですね。

・・・さらに

仏教における「無」とは

 仏教思想における「無」や「空」は,古くから議論されています.般若心経にも「無色無受想行識,無眼耳鼻舌意,無色声香味触法」 とありますが,このような文を見ると全てが否定されているように見えます.しかし,我々は,普段の生活においては疑うことなく「存在」を実感しています.ここに多くの人が矛盾を感じることでしょう.この感覚は決して間違っていません.なぜなら,仏教では「存在」も「無」も認めるからです.重要なのは,何が否定されて,何が否定されないかを見極めることです.

さて,「無色無受想行識,無眼耳鼻舌身意,無色声香味触法」について考えてみましょう.「色受想行識」とは人間を構成する5つの要素です.「眼耳鼻舌身意」とは人間の6つの感覚器官であり,「色声香味触法」とは感覚器官の対象を指します.したがって,これら全てが否定されていることになるのです.

しかし,ここで注意しなければならないのが,何もかもが否定されているわけではないという点です.否定されているのは,色受想行識等の実体的な存在です.実体的な存在とは不変的な固有の本質と言い換えても良いでしょう.仏教においては,色受想行識等には不変的な固有の本質は無いと考えます.

また,我々は「色受想行識」が集まったものに対して「人」とか「私」と言います.ただ,「色受想行識」の一つ一つが「私」ではありません.「色受想行識」の集まりに「私」という名前をつけたに過ぎません.したがって,「色受想行識」を細かく分析しても「実体的な私」を探し当てることはできません.いわゆる「人無我」です.ここで否定されているのは「実体的な私」です.
しかし,我々が普段認識しているように,確かに「私」は存在します.この「私」とは「色受想行識」の集まりにつけた名前としての存在です.
したがって,否定されるものは「実体的な私」であり,否定されないものは「名付けられた私」であります.この区別が非常に重要です.

「眼耳鼻舌身意」や「色声香味触法」も同様に考えて良いでしょう.人間を構成する感覚器官もその対象も実体的には存在しません.ただし,それぞれは名付けられたものとして存在しますし,それらが集まって「私」が存在するのです.

仏教においては,「空」であれ「無」であれ,否定されているもの実体的な存在であり,否定されないものは名付けられた存在であります.

 

「空」の最終境地 知恵も悟りも永遠に未完である

完成しないからおもしろい

常に自分の心を一段上げてゆく生き方・・・それは一種の修行

 

 

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