組織は構成されるメンバーにより良くも悪くもなります。当たり前のことですが・・・さらに組織は管理する少数のメンバーの意思により意思決定されるため、管理メンバーの質が組織の質となります。いかに優秀な管理者を創り上げるかが、組織を維持するためには必要となります。
大手企業の場合、会社に入った時から管理者(経営者)候補が存在します。その候補者は一般入社のメンバーとは明らかに違う待遇を受けます。また、教育も別メニューとなります。いわばその企業の帝王学を学ぶこととなります。優秀な人材による専門的な教育により大手企業は存続の危機から回避できる仕組みを創り上げる事となります。
しかし、中小企業、零細企業においては全く違う状況です。まず人材がいません。オーナーが優秀であってもその他のメンバーは当然ながらオーナー以下の資質でしかありません。オーナーは自分で立ち上げた会社では、自分が最も優秀だと確信しています。自分の経験則から物事を言います。それがその時代にマッチしていればよいのですが、時の流れの中でそのオーナーの考えが陳腐化してゆきます。さらに時の流れとともにオーナーの考えと時代とのギャップは拡大します。時代のそぐわない考えに固執するオーナーは孤立化します。最終的には従業員の言葉を信用しなくなります。と同時に従業員もオーナーの言葉を信用しません。優秀な人材はその企業から流出します。残ったものは転職できない残念な従業員だけです。
日本の終身雇用制はある時代においては機能しました。高度成長期です。とにかくがむしゃらに働けば給料は上がる。生活の質は向上する。テレビや冷蔵庫、洗濯機を買うことができる。車を買うことができる。マイホームを持つことができる。働きがその時代の夢を叶えてくれました。従業員も働ける企業に対する忠誠心が高まります。経営者側もとにかくはたらく従業員は有難い存在となり双方の信頼関係は深まります。
大量生産と大量消費が美徳の時代に最前線で働いた従業員はやがて幹部へ昇進しました。しかし、時代は多様性を求める時代へと変化してゆくこととなります。幹部たちの経験した成功大変は新しい時代にはそぐわないものとなっていました。しかし、幹部たちは部下に対して自分自身の成功体験を押し付けます。時代に合わない戦術は失敗を重ねることとなり部下たちのモチベーションは下がる一方。さらに幹部への信頼度も同時に下がる結果を招きます。幹部たちは部下が失敗することを部下の責任にします。『自分はきちんと指示を出している。しかし、部下がその通りやらない。そのため失敗している。』部下たちも『幹部の指示は、間違っている。もっと時代に合った方法をとるべき』どんどん幹部と部下の間の溝が深まります。信頼関係が成り立たない組織は機能不全となります。優秀な人材は機能不全の組織に見切りをつけます。人材流出。人員減少により残された従業員の仕事量は増加し、ますます労働環境は悪化します。さらに人が離れることとなります。そうなってしまっては手のつけようがないです。つぶして再構築するしか方法がないのです。
大切なことは昔の成功体験だけに固執しないことです。また、過去の成功体験を良く分析することです。その成功体験は自分の力で勝ち取ったものなのか?それとも時代の流れが生んだものなのか?ほかのメンバーでも同じ成果が出せたのか?振り返ることが必要です。日本の98%は中小企業です。機能不全に近い状態の企業が多くなっているのではないでしょうか。過去の成功体験にとらわれないで、幹部層とその部下たちの信頼関係を再構築することが危機的な状況を打破することとなると思います。
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